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真藤順丈「庵堂三兄弟の聖職」を読んだ

2009.02.17.Tue.18:15
第15回日本ホラー小説大賞大賞受賞作。
遺体を加工して製品を作り出す「遺工」を家業とする庵堂家。死臭漂う工房に籠もる長男、家業を手伝う汚言症の三男、進路に迷う次男。スプラッタ成長ストーリー。

庵堂三兄弟の聖職庵堂三兄弟の聖職
(2008/10/24)
真藤 順丈

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うーん。グロいけど怖くない。
それはもともと怖がってもらおうという作品ではないから。
スプラッタな仕事を介した兄弟の青春、または絆の物語。

中盤からテンポアップして盛り上がっていくが、それまで物語の世界に入り込むのに時間がかかった。
特殊な仕事の設定とはいえ、最初の長男の行動の描写はわかりにくい。
三男の汚言を吐きまくるキャラが馴染みにくい(最後は好きになったけど)ので、のっていけない等。

最後は爽やか風味で終わりです。
えっ?って感じ。最後に次男が兄弟を殺戮とかするのかな、つぎはぎの親父が出たら笑えるとか考えてたぞ。

面白くない事はない。好きな人は好きだと思う。
ただ続編が出たとしても読まないだろうなぁ。
俺は三兄弟をそれ程魅力的に感じなかったから。

なんで第15回日本ホラー小説大賞大賞受賞作なんだろうね。
怖くなけりゃホラーじゃないとは言わないしホラーの定義もよくわからんけど、これは違う気がする。
日本ファンタジーノベル大賞なら、まだわかるよ。

個人的満足度 ★★★☆☆
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真藤順丈「RANK」を読んだ

2010.04.06.Tue.09:32
道州制による分権のもと、監視カメラのネットワークによって国民に絶えず順位を付ける制度(RANK)が施行される近未来の日本・関東州。(RANK)低位者の拘束を業とする公務員「執行官」の中には、任務に疑問を抱く春日と、歪んだ正義感のもと暴走していく佐伯がいた。抑圧された人々の蠢きによって、自らに危機が迫っていることも知らず…。
第三回ポプラ社小説大賞特別賞受賞作。 (「BOOK」データベースより)

RANKRANK
(2009/05)
真藤 順丈

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徹底された管理社会を舞台にした近未来SF。
舞台設定自体は特別目新しくはないですが、細部にわたり綿密に考えているなとは思います。
ただ、こういう場合はどうなるの?これってどうなの?って思ったところが、物語上でシステムの矛盾点、問題点として指摘されていたりするのは、ちょっとずるいぞ!とは感じました。

物語自体はなかなかスピード感がありスラスラ読めます。アクション描写も熱があっていい。
でもキャラクターがなぁ。
破天荒過ぎたり、感傷的過ぎたりで、いまいち魅力を感じない。

後なんとなく思ったけど、東山彰良ぽいね。
話のテイストは違うけど、衝動的だったり、暴力的だったりするところが。
あそこまで洗練された趣味の悪さはないけどね。

真藤順丈「地図男」を読んだ

2010.04.28.Wed.10:40
仕事中の“俺”は、ある日、大判の関東地域地図帖を小脇に抱えた奇妙な漂浪者に遭遇する。
地図帖にはびっしりと、男の紡ぎだした土地ごとの物語が書き込まれていた。
千葉県北部を旅する天才幼児の物語。東京二十三区の区章をめぐる蠢動と闘い、奥多摩で悲しい運命に翻弄される少年少女―物語に没入した“俺” は、次第にそこに秘められた謎の真相に迫っていく。
第3回ダ・ヴィンチ文学賞大賞受賞作。

地図男 (ダ・ヴィンチブックス)地図男 (ダ・ヴィンチブックス)
(2008/09/03)
真藤 順丈

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今まで読んだこの人の作品の中で一番読みやすい。
なんせ短いからな!

でも一番好きかも。
地図男が語りだす物語はなかなか魅力的です。
でもこれは短いからであって、長編に膨らませるとだれるだろうなぁとも思う。
特に東京23区。あれぐらいの長さの劇中劇のスタイルがちょうどいい。

ただ落ちがなぁ。。。。
こういう落ちでもいいけど、もうちょっと「そう言われてみると」と思わせて欲しいよ。
ユージュアルサスペクツ的な「してやられた」感を期待して、読み返したけど「なんだかなあ」で終了です。

うーん。ネタバレなしで書いたけど、こんな文章でどこまで伝わるだろうか。
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