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森川智喜「スノーホワイト」を読んだ

2014.08.16.Sat.02:20
“魔法”と“探偵”が出逢うとき、完全犯罪の幕が上がる。「なんでも教えてくれる不思議な鏡」を使ってちいさな探偵事務所を営む女子中学生・襟音ママエ。自分の頭ではまったく推理をせず鏡の力に頼りっきりのママエだったが、とある事件がきっかけで、ずる賢い天才探偵・三途川理に命を狙われることになってしまい―!?奇想の新鋭が放つ、知恵と勇気の探偵小説。(「BOOK」データベースより)


スノーホワイト 名探偵三途川理と少女の鏡は千の目を持つ (講談社BOX)スノーホワイト 名探偵三途川理と少女の鏡は千の目を持つ (講談社BOX)
(2013/03/15)
森川智喜

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「なんでも教えてくれる不思議な鏡」を失った少女と、それを利用し彼女を亡き者にしようとする天才探偵のお話。
なんでもありの魔法アイテムの使い方が面白いんですが、イマイチのりきれない。
なんていうかゴチャゴチャしてるし、キャラが好きになれなかった。

ゴチャゴチャしてるのは、構成が凝っているせいだけではない。
イラストのせいもあると思う。小説のキャラとイラストが一致していないから、読んでいて違和感を覚えた。
それから後半は、こんなに凄い鏡の使い方思いついたぜ、という事に重点を置いているので、ひねくれた使用方法の説明が多い。それもうっとうしいなあと感じてしまった。

アイデアは面白いと思うよ。
例えるならジョジョの6部や7部のわかりづらいスタンドバトルをより論理的に説明できるようになっている感じ。
ただ頭脳戦というわけではないです。探偵側が一方的に仕掛けるだけ。

つまらないわけではないです。
一風変わったミステリーが読みたい人はいいんじゃないでしょうか。
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貫井徳郎「私に似た人」を読んだ

2014.08.11.Mon.03:03
小規模なテロが頻発するようになった日本。ひとつひとつの事件は単なる無差別殺人のようだが、実行犯たちは一様に、自らの命をなげうって冷たい社会に抵抗する“レジスタント”と称していた。彼らはいわゆる貧困層に属しており、職場や地域に居場所を見つけられないという共通点が見出せるものの、実生活における接点はなく、特定の組織が関与している形跡もなかった。いつしか人々は、犯行の方法が稚拙で計画性もなく、その規模も小さいことから、一連の事件を“小口テロ”と呼びはじめる―。テロに走る者、テロリストを追う者、実行犯を見下す者、テロリストを憎悪する者…彼らの心象と日常のドラマを精巧に描いた、前人未到のエンターテインメント。(「BOOK」データベースより)


私に似た人私に似た人
(2014/04/08)
貫井徳郎

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現代社会とほとんど変わらない架空の日本が舞台の小説。
諸問題が少し強調的だったり断定的だったりしますが、
これをすんなり受け入れられるのが、物語を楽しめるかどうかの鍵だと思う。
まあ当たりまえか。

話自体は10人分のストーリーが淡々と進みます。
ミステリー的な仕掛けもありますが、この作者お得意の奴なので驚きはなかった。

それなりに満足な出来ですが、もうちょっと社会派よりからエンタメ寄りになってもいいんじゃないの?とは感じた。
ただそうしちゃうと、物語から漂う閉塞感や絶望感が薄まるか。
バランスが難しいな。

小林泰三「アリス殺し」を読んだ

2014.08.03.Sun.22:56
“不思議の国”の住人たちが、殺されていく。どれだけ注意深く読んでも、この真相は見抜けない。10万部突破『大きな森の小さな密室』の鬼才が放つ現実と悪夢を往還する“アリス”の奇怪な冒険譚。

アリス殺し (創元クライム・クラブ)アリス殺し (創元クライム・クラブ)
(2013/09/20)
小林 泰三

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アリスの不思議の世界と現実の世界がリンクするミステリー。
相互に影響しあう世界を行き来するのが物語の肝なので、幻想的な描写でこれは現実がそれとも的な不条理話でお茶を濁すと思ったが、ちゃんとミステリーしていた。

序盤である程度の仕掛けは読めた気がしますが、それじゃ浅すぎでした。やられた!と素直に思った。 
俺は十二分に楽しめました。犯人がわかってからのラストへの畳みかけは心地良い。

僕が好きな作者特有の人を小馬鹿にしたような屁理屈やグロ描写もあるし満足。

長岡弘樹「教場」を読んだ

2014.07.22.Tue.23:10
君には、警察学校を辞めてもらう。この教官に睨まれたら、終わりだ。全部見抜かれる。誰も逃げられない。前代未聞の警察小説!(「BOOK」データベースより)


教場教場
(2013/06/19)
長岡 弘樹

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警察学校を舞台にした連作小説。
何もかも見通した佇まいの教官がどことなく「ジョーカーゲーム」の結城中佐っぽい。

警察学校内部の世界が描かれますが、なんか物足りない。
僕はそれほど警察学校特有の陰湿さや閉鎖的な雰囲気は感じなかった。
いや十分に陰湿で閉鎖的なんだけど、なんかこれも想像の範囲というかもっとこいよ!というか。

やっぱり帯が悪いよ。
「すべてが伏線。一行も読み逃すな。」
そしてライターさんたちの賞賛のコメント。

ハードルあげまくり。

どんだけとんでもない小説なんだよ!そしてどんな大仕掛けが!

期待度MAXで読んだせいか、いま一つに感じた。いやいま二つだな。

決して内容が悪いわけじゃない。
帯さえなければ、面白かったよと言っている僕がいるとは思う。

円居挽「烏丸ルヴォワール」を読んだ

2012.11.29.Thu.10:45
京都の支配にもかかわるという謎の書『黄母衣内記』の所有者が不審死を遂げ、二人の弟の間で書を巡って争いが勃発。名門、龍樹家の若き論客たちは、依頼人から仕事を受け、私的裁判双龍会に臨む。ところが、瓶賀流は覆面をした正体不明の怪人“ささめきの山月”に誘われ、御堂達也ら龍樹家側の仲間たちと対決することになってしまう…。(「BOOK」データベースより)


烏丸ルヴォワール (講談社BOX)烏丸ルヴォワール (講談社BOX)
(2011/10/04)
円居 挽

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どうも。お久しぶりです。

最近つとに自分に自信がなくなってきたので、「がんばらなくていいよ」、「駄目な自分を認めてあげて」的な本ばっか読んでました。

子供がいる40前の男なのに情けない。

ただまあ自信がついたとか関係なく、なんとなく精神状態が落ち着いたので、久しぶりにエンタメ小説を読んだ。

前作は設定やキャラクターについていくのが必至だけど、今回もそれを踏まえているので、前よりも純粋に物語やセリフ回しが楽しめた。

展開もオチもそんなのありかよ!的な事も前作で慣れたしね。
シリーズ物として安定の面白さです。
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